2017/11/24

江ノ島


言葉というのは 完全だと思う。
完全という 言葉がある。

完全な言葉。
どうしても 吸い寄せられてしまう。

バックミラーに映る 青かった空。
あの時のあの人と あの時のあの人と一緒にいた自分。

言いたいことが あったけど それは
言われたかったこと だったかも知れない。

自分のようで 相手のようで
相手のようで 自分のようで
進んでいるようで 戻っているようで
ミラーの中の車線は 自分を追い越していく。

毎日の帰り道。
何年も見ている 信号の赤い光。
前も後ろも無いのに 振り返る。

あの日の江ノ島は 夏だった。
日焼けするのは平気だと 言った。

写真よりも完全に 焼きついてしまった。

P


自分を投影して 逃避するはずの
映画やゲームも
結局のところ それを作った誰かに嫉妬した
現実とのつながりは消えない

詩や技術のない絵を 書くことで
自分自身の世界を作れた

神さまが 世界と言う箱庭を作るように
彼も 自身の思う世界を作っていた

しかし それも逃避するはずだった
映画やゲーム 小説や絵と同じ

泳ぎながらも溺れている
結局のところ バタバタともがいている
それも 若さ特有の時間ではあったのだが

今は時間が経ち 若さは薄れ 
逃避は 技術になり 
遠き日は 未熟さを繰り返し
現実と過去との線引きを
執拗に繰り返している

線引きできるか
そんなやつバカだ

そんな小言も 夜の就寝になり
ただの強がりも 集束に向かう

明日も同じように 今日も終わる
知っているから 安心も出来る
安心した時から 悲しみがわき出る

思うがままの世界は
自由に空を飛びたい世界でもない

ただの就寝を 線引きにしない
起きるも眠るも ずっと同じでありたい

集束は いつかする
ただそれには 気づかないままでいたい

そんなやつバカだ

そう言ってくれるな
この箱庭の中には 何一つもない

気づかないふりで 寝るしまつ
集束は いつかする
それが今であったらと

また逃げられない世界にも
どうにもならん

今度の映画は何を見ようか
自分はどこまで出来るのか
それは同時に考えることなのか
何か言ってくれればいいのに
終わりの線はどこにあるのか