2008/06/29

第二ピアノ

 
よく焼けたピザ
その上の
よく焼けたトマトが
舌の上を
すぺり込む

真っ赤な甘みで
ほおがふくれる

人がでてこない小説は
小説になり得るのか

現実に
そこに
人がいない

幕をそっと引く手が見つめていて

海でも舞台でも
飛び込む勇気があれば

トマト
果実に
鉄の舌

鍵盤は
熱いうちに打て

第二ピアノは
たしかに
そう言った

2008/06/02

洗濯

 
どこにも属さないように
うまくやれるでしょうか?

思いがけず、手をかけようとして
それもできず、
洗濯をします。

虫のように小さな波が
つみかさなって
大きな流れとなり、
気がついたら
ずっとそれを、眺めていた。

欠落した小説を書きます。

あわつぶのような
信仰心のために
ペンをとる。